松添さんは、第55回大会と第56回大会の両大会において、木型の職種で金メダルを獲得。
連覇を達成するという快挙を達成。トヨタ自動車が1966年に技能五輪の参加を開始して以来、
女性としての金メダル獲得は2人目で、初の連覇となりました。さらに、2019年ロシアで開催された
第45回技能五輪国際大会に出場。試作モデル製作の職種で銅メダルを獲得しました。

―おめでとうございます。松添さんが参加された全国大会の“木型”とはどんな職種ですか?

 ありがとうございます。
 全国大会の木型とは、自動車のエンジンなどを作るときに、型を作ってそこに鉄を流し込んで鋳造します。その型の型になるのが木型です。
 競技としては、エンジンなどをモチーフにしたものが課題に出ます。それをカンナ、ノミなど大工さんが使うような工具を使って、手加工のみで加工します。制限時間はだいたい10時間。2日間にわたって行われます。

―10時間ですか?! それはやっぱり筋トレが必要ですね。

 そうですね! 最近だと、木材だけでなく樹脂も素材として使われていますが、樹脂も手で削ります。すべて手作業で、図面にあるサイズのコンマ1ミリの誤差以内に収めなければならないので、とても根気のいる作業です。
 2日間にわかれているけど、ずっと全力のスピードで動き続けなければならないので。平面に描いてある図面を立体にするので、図面読解も必要です。

―今年(2019年)出場した、国際大会はどんな競技に出場されたのですか?

 国際大会で私が出場した職種は“試作モデル製作”というもので、木材は一切使いません。硬い樹脂を、フライス盤、旋盤、その他木工機械、3Dプリンターも使って最後は塗装もして、商品の模型のようなものを作ります。制限時間は22時間、3日間。国内大会とは違って、機械を使う練習からはじめます。
 この職種では12カ国が参加しましたが、女性は私だけ。でも、各国に同じところを目指している仲間たちがいるということがすごくうれしくて! 言葉はあまり通じないけど、仲良くなりました。そこにいるだけで仲良くなれる感じ。ライバルでもあり、仲間でもある人たちなんだなー、と。最終日は、みんなでデザインから考えてひとつのものを作りました。お祭りみたいで楽しかったです。正直、銅メダルは悔しかったですけど。

―松添さんが考える技能五輪とは、どのようなものでしょうか?

 手加工の技能、人の技を大事にしているのが技能五輪だと思います。最近は機械の自動化が進んで、機械にまかせきりになるような時代の中でも、手加工の技能を大事にする、人の技を大事にしていく、という面で共感しています。若い人たちが、一生懸命に技に取り組んで競い合っていくというのは素晴らしいことだと、つくづく感じています。

―今後、松添さんと同じ職種で技能五輪にチャレンジする女性へのメッセージをお願いします。

 加工系や技術系は女性が少ないですが、その中で男性と同じメニューをこなして勝ったときというのは「やってやったぞ!」という気持ち。女性のほうが意外と負けず嫌いなひとが多い気がするので、向いているんじゃないかなと思います。チャレンジしてみたら、結構楽しく出来ると思うので、私が最初にやってみたい! と思ったように、そういう気持ちがある人はぜひチャレンジして欲しいです。女性で技能五輪に優勝する人が出てくれたらうれしいです。

―松添さん自身のこれからの目標をお聞かせください。

 今後、どんな職場に配属になるかはまだわかりませんが、女性ならではの感性がある、というのは強いと思うし、その感性を仕事に生かしていけると思っています。男性が多い職場でも特に抵抗はありません。車作りに携わって、新しいことにもチャレンジして、マルチに活躍できるようになりたいです。

トヨタ自動車株式会社

2015年トヨタ自動車入社。


自分の性格を自己分析すると、負けず嫌い。失敗すると悔しいという気持ちが強くなります。入社した頃は、失敗するとこっそり練習もしていました。技能五輪を目指すなかで、プレッシャーにも強くなったと思います。ひたすら作業に集中しなければなりませんが、意外と「お腹すいたなー」とか考えてます(笑)。
愛車はオーリス。オーリスの名前の由来が“金”というみたいで、けっこう好きな名前。それで金賞もとれたかな?! 特に好きなのはフォルム。前のほうがシュッとしているところや、後ろのハッチバック、ライトの形が好きです。運転は、最初はちょっと怖かったけど、自分の車を持ってから好きになりました。
最近の目標はダイエットです! と、女子らしい一面も。

技能五輪国際大会で松添さんが
実際に製作した水中カメラ

技能五輪全国大会
技能五輪国際大会とは

技能五輪全国大会は1963年から開催されている、青年技能者の技能レベルの日本一を競う技能競技大会。目的は、次代を担う青年技能者に努力目標を与えるとともに、大会開催地域の若年者に優れた技能を身近にふれる機会を提供するなど、技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重機運の醸成を図ることにおかれています。出場選手は原則23才以下。競技職種は機械関係からIT、料理、美容、フラワー装飾など多岐にわたり、2018年の第56回全国大会には、42職種に約1300名が参加しました。トヨタ自動車では、自動車製造に関連した10職種に参加しています。
また、技能五輪国際大会は参加各国における職業訓練の振興と青年技能者の国際交流、親善を図ることが目的となっています。日本代表選手の選考は、国際大会が開催される前年に開催する技能五輪全国大会での優勝者が日本代表として選出されます。